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EVメーカーのテレマティクス保険

米国EVメーカーは1月決算説明会にて2022年末に保険料収入が年3億ドル(約420億円)規模に達し、四半期の成長率は20%と自動車販売より高いと発表した。米国では年齢や性別、事故・違反履歴によって決まる自動車保険料を支払うのが一般的。一方、同社はテレマティクス保険と呼ばれる類である。加入者は走行距離や保有車種・台数、居住地、必要とする保障水準の5項目を提供、且つEVが自動運転などのために搭載しているセンサー類を活用して導き出す「安全スコア」を活用する。各ドライバーの走行距離100万マイルあたりの事故発生確率を予測し、0から100の数字で示す。急ブレーキや衝突警告、先行車両との異常接近が増えるとスコアは下がり、深夜の運転などもスコアの低下につながる。日々のスコアはスマホのアプリで確認でき、月次平均を保険料に反映させる。スコアがよければ保険料が下がる仕組みで、従来よりも20~30%安くなるとのことだ。

前述のスコア低下項目の急加減速、車間距離、夜間走行等は従前からあるトラック運行管理の車載端末の機能要素である。EVにより走行中のデータ捕捉が可能となった。燃料車(リアルに情報が取れない車) x 過去(年齢・事故履歴等)に基づく保険とは異なり、EV x 現在(走行場所・時間等)に基づく保険である。EVの普及にともない、車種だけではなく、周辺産業の自動車保険まで競争環境が展開していく。テレマティクス保険の今後は車内カメラ・センサーを活用して運転状態(視線、呼吸等の動体)も捉える。またウェアラブル端末(時計、サングラス)から現在の体調も捉え、保険料算定に連携する可能性もあると考える。

竹本 佳弘