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EC企業のメディカル事業 ~その次に見えるもの~

米EC最大手(以下、当社)が中小薬局と組み、日本で処方薬のネット販売をローンチするとのこと。当社は今回、自社倉庫ではなく、提携の中小薬局の在庫拠点から集荷・配送するとのことだ。
当社は米国では18年に診療、薬局の事業会社を買収、オンライン薬局で受注した処方薬を自社倉庫から配送している。
日本においては当社と提携する薬局はオンラインで服薬指導する。患者としてオンライン診療(医療機関のインセンティブ等、普及課題は多い)も必要となる。
当然、日本の医療改革のスピードと当社の事業スピードは異なるが、スマホを使いこなすアクティブシニアが後期高齢者世代になっていく中で、早晩、このEC企業の薬局併設ドラッグストア化の潮流は加速すると考える。
提携する薬局として、将来、当社が米国同様に自社倉庫での運用に移行するとき、あらためて、事業戦略の方向性が問われる。
さらに、その次に見えてくるものは医薬品卸業界の変革である。薬局提携により当社自体が卸機能を担うことが可能となる。医療機関と処方箋データを連携すれば、当社から処方薬を宅配、一方、医薬品メーカーから大量仕入という流れである。
まだ実現には遠いと考えるが、薬局企業、医薬品卸企業、それを支えるメディカル物流企業は今後の戦略の方向性を再検証する時機と捉える。

竹本 佳弘