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2021年の企業倒産件数

リサーチ大手は1/13、2021年の企業倒産件数を発表。前年比:22%減の6,030件、1964年の4,212件に次ぐ57年ぶりの低水準とのこと。
コロナ禍における国や金融機関の資金供給が経営不振の企業を下支えする状況とのことだ。
資金供給のタイミングが企業の資金繰りサイクルに必ずしも合致しているかは不明である。また、企業体質は死に体(キャッシュ創出力ない中での返済本格開始)で倒産は来期以降に顕在化する可能性もある。21年実績から倒産件数が減少トレンドに移行していると捉えるのは早計である。
一方、業種別で運輸業は前年比:5%増の239件と全産業で唯一増加、外食向けの輸送需要が激減したことや人手不足が響いたとのことだ。これまでも輸送の需給マッチングのサイトはあり、当サイトを活用すれば休車している外食用車両に他業種の貨物を付けることは可能である。また、物流業界は車両・乗務員不足を背景にM&Aは活況であるため、倒産ではなく、売却(事業承継)という策もある。
倒産件数増加=不況と捉えることなく、他の増加要因を熟考する必要がある。トラック以外の運輸業の倒産やあるいは前年比対象の数字のあや、で倒産件数が5%増となっている可能性もある。このように件数増加を鵜呑みにするのではなく、業種別の事業環境を俯瞰の上、数字を捉える必要がある。

竹本 佳弘