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空調メーカの川上戦略

空調メーカの川上戦略が注視されている。空調メーカ最大手はコア部品の圧縮機を他社に供給する事業に本格参入する。米空調部品メーカー大手と25/6月までに合弁会社を設立し、現地空調メーカーに販売すると発表。当社は圧縮機のモーター回転数を細かく制御するインバータの技術に強みを持ち、住宅向けのインバータ製品では消費電力を3割程度削減できるとしている。米国ではインバータ製品比率が10%以下、且つ加州等では省エネ規制が強化されつつあり、米国でもインバータ製品の需要が増加傾向とのこと。当社は中国でも同様の戦略でインバータ製品の市場を成長させてきた。
インバータの技術供与で市場成長させる、これはPCのインテルインサイドと同様にインバータ製品をデファクトスタンダードとする市場戦略と捉える。技術供与・公開は半導体市場の様に市場リーダー取り替わりの可能性がある。しかしながら、当社は技術供与と並行して販路・メンテ網の強化、サブスク等の販売体系の多様化を実施して市場ポジションを固めている。また将来的には高技術のインバータ部品メーカ買収により部品メーカによる市場コントロールを回避しつつ、バリューチェーン・ガバナンスを実現すると考える。

竹本 佳弘