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国家のSNS制御によるサプライチェーンの寸断

23年2月、トルコ南部で起きた巨大地震の救助のさなか、SNSが使えなくなった。トルコ政府が対応の遅れなど政権批判を封じるために、通信会社などのアクセスを停止。救援や物資要請の連絡手段だったSNSが使用不可となりサプライチェーンが寸断、物資配送が大きく減少したとのこと。同様の事象はインドでも発生。政府が断続的にネット遮断を強行。業者間で連絡が取れず商品の供給網が滞り、EC事業者が倒産。VPNプロバイダーの推計ではリアルの供給網への影響は大きく、世界の経済損失は22年に19年比3倍の3.5兆円に上るとのこと。

これまでのサプライチェーンの遮断は地震、戦争・クーデタ、パンデミック等のリアル世界の有事によるものであったが、この事例は国家のサイバー世界の制御によるサプライチェーンの遮断である。サイバー世界では企業、ヒトは繋がり生活にも組み込まれている。これからはリアルとサイバーの双方のサプライチェーンマネジメントが必須となり、且つ国家のサイバー世界の制御等の新たなカントリーリスクを想定して、代替的サプライチェーンへの切り替えを準備しておく必要がある。

竹本 佳弘