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「とき消費」が示す個人輸入の増加

日本の輸入許可件数が急増している。2019年に5千万件、22年は1億件を超えた。コロナ禍の巣ごもり消費の定着から個人の越境ECで消費税や関税のかからない少額の買い物が広がっている。財務省によると、22年輸入許可件数は総計1億1289万件(前年比18%増)とのこと。また経産省によると越境ECの22年購入額は米国・中国発のみで3954億円(前年比6%増)とのことだ。

増加要因は価格1万6666円以下なら消費税や関税が非課税のため(一部商品除く)、コストコンシャスな個人客が個人輸入を活用することがあげられる。購入目的として注視したいのが、「とき消費」である。アフターコロナにおいて、イベント、パーティ、フェス等の一日、一瞬の消費のために購買するものである。とき消費のためには、同質であるが異質で且つ、一回だけの使用に耐えうるリーズナブルな商品を海外にも求める消費者がある。

一方、行政も法改正により税収入確保を目指す。EUは税制を見直し、付加価値税を少額の輸入でも課す仕組みにした。シンガポールは23年から免税枠を廃止した。今後、日本においても個人輸入に関する規制強化の可能性はあるが、輸入シェアリング等、新規サービスにより個人輸入の多様性が促進されると考える。

竹本 佳弘