TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

顧客とのつながりと、顧客間のつながり

日雑・化粧品メーカー大手が中国でのチャネル政策を見直す。口コミを重視する中国では、SNSの普及で個人間取引が拡大。中国の化粧品EC市場は足元で約4兆8000億円。このうち3分の1は、影響力のあるインフルエンサーやバイヤー経由で購入する個人間取引が占めるとのことだ。
同社は中国向け越境EC支援企業と組み、中国人バイヤーと契約する。まず同社が当支援企業に商品を販売し、在庫は当支援企業が管理する。中国人バイヤーのEC店舗に注文が入ると、支援企業が越境ECで中国の消費者に直送する。今回の仕組みは、まず同社が当支援企業に販売するため、その時点で売上計上、利益水準は百貨店での販売と同程度とのことだ。
これまで企業は「顧客とのつながり」と重視してきた。マーケティング、セグメンテーション、ターゲッティング、プロモーションの正攻法である。TV-CMで宣伝する企業のブランドエクイティにより、商品の信頼もあった。
しかし、現在では信用する、憧れる、あるいは等身大のインフルエンサーから紹介される商品が信頼性を帯びる。これからは「顧客間のつながり」を重視した企業活動に注力しなければ、生き残れない。もっと平易に言えば、顧客間の伝言ゲームを制することが成功要因になると考える。
国内においても大躍進中の作業服SPAがアンバサダー制度を4割増の50人体制に強化するのも、顧客間の伝言ゲームの成功と言える。具体的な手法の策定としてはマーケティング4.0の5AでいうAdavacation(推奨)の部分が参照可能である。今後も顧客間のつながりを認識したチャネル施策に拍車がかかると考える。

竹本 佳弘