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OODAループの実例

今回はOODAループの実例を挙げていこうと思う。まず軍事上の例を挙げる。第二次世界大戦初頭のドイツ軍による電撃戦である。当時、ドイツ軍はフランス軍に対して質量ともに劣っていたことはあまり知られていない。当時マジノ線と言う要塞が独仏国境付近に張り巡らされており、これによってドイツ軍はフランスに侵攻できないはずであった。しかしドイツ陸軍のマンシュタイン将軍が、要塞が展開していない北部ベルギー国境を利用しておとり部隊を展開し、その間に中部アルデンヌ高地をとにかく速度だけを重視して突破するという作戦案を立案。第一次世界大戦時の主攻撃路をおとりにするという驚天動地の作戦で、当時のドイツ陸軍参謀本部には受け入れられなかったが、ヒトラーの鶴の一声で実施されたものである。その結果、フランス軍は現実を認識できずに空中分解してしまったのである。結末は史実のとおりである。
流通業での例として、チラシ戦略が考えられる。食品スーパーの場合、チラシの集客力は欠かせない要素である。基本的にはPDCAでよいのだが、目玉商品の価格がライバルより一円でも高かったら、集客力に大きく響く。そこでOODAの登場である。決定権を持つトップが、鶴の一声で価格を決める。特売の企画を打つ際に、一般的に卸や製造元にリベートをお願いするのだが、この順番を逆転させるのだ。これらは、これまでは勘と度胸と言った言葉で表現されてきたが、これからはOODAループによる決断と言うことが出来よう。OODAループの真の目的は顧客の感動である。次回はこの実現に向けたコツについてお話ししたい。

有冨 嘉哲
慶應義塾大学化学科・大学院理工学研究科卒業後、㈱富士通総研産業コンサルティング本部、㈱三菱総合研究所経営コンサルティング事業部にて経営、業務、ITのコンサルティングに従事。特に流通業の経営戦略、IT戦略に豊富な実績を有す。その後、起業を目指して現在、準備中。

有冨 嘉哲