TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

飲料メーカのサイバー攻撃が示唆するもの

飲料メーカ大手(当社)が25年9月、サイバー攻撃を受け、25/12月初旬にビジネスが回復した。この事例は多くの示唆が含まれている。
1)BCPにおいて、事業停止リスクのシナリオとリカバリタイムの見直し:これまでの有事シナリオにおけるリカバリタイムは数日―数週間を中心に設定している企業が多いと考えられる。しかしながら今回、正常出荷まで3カ月を要している。
2)システム連携・非連携のIT計画の見直し:本事例は生産管理システムは非連携のため、製造は継続できた。一方、販売・需給・物流管理の各システムが機能停止となり、メール・Fax受注→Excelオーダーシート作成→手入力→出荷のマニュアルオペレーションを強いられた。これまでグローバルに展開する企業はERPに更改していく傾向があったが、本事例の様に各業務システムを更改していくのか、その他、機能のクラウドサービスで構成するのか、IT計画を再点検する必要がある。
3)有事における顧客とのSLAの再設定:当社はマニュアルオペレーションにおいて、卸や酒販店に対し、急ぎ4つの制約を伝えたとのこと。有事の納品条件であるが、次の「→」に示すように製造・物流コストにインパクトを与える要件となっている。
①出荷商品の限定→SKU絞込みによる製造・物流コストとその計画業務の効率化
②大型搬送車のみの対応→ユニットロード化による倉庫作業・輸配送コストの効率化
③量の多いパレット単位での発注→パレチゼーションによる倉庫作業・輸配送コストの効率化
④通常より長いリードタイム→納期調整による貨物の束ね効果による積載率向上(車両台数削減)
このダウンタイムの当社業績は3割減とのことであるが、合わせて上記の要件変更による製造・物流コストの変化も試算して業務改革に展開して頂きたい。

竹本 佳弘