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物流CO2削減取組み

都内近郊の大型物流施設で、カーボンフリー電力の供給サービスが開始される。入居者は通常発電の電力とは別に、CO2排出されずに発電された電力を選択することが可能になる。通常より1kWh数円割高ではあるが、この物流施設では、十数社の入居者がいる中で、外資系企業の2社が切替える予定だ。
導入した外資系企業の1社に話を聞いたところ、本社から、物流におけるCO2削減目標が提示されており、今回の物流施設側からの提案は渡りに船であるとのこと。多少のコスト増ではあるものの、コストに見合う削減効果が期待でき本社からも承認された。こちらの企業では、その他、輸送時に用いる梱包仕様も見直しする予定である。
必ずしも日系企業の物流面におけるCO2削減活動が遅れているとは言えないが、他の日系企業の話を聞いても、検討はしているものの本格的に削減活動を実行しているところは、少ないと感じられる。しかし、今回の外資系企業の取組み状況を鑑みるに、消費者のSDGsに対する意識が高い欧米地域に拠点を構える企業では、CO2削減に向けた取組みは進んでおり、同じマーケットに参入している日系企業においては、CO2削減取組みは今後必須になると考えられる。
加えて、これらグローバル企業がCO2削減目標を達成するには、物流サービス供給者の協業も不可欠であると考える。国内配送においては、ヤマト運輸も17年から配送にEV車を導入、2030年までに5千台のEV車を保有し、50年までにはCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。日通も中型のEVトラックを導入。また、輸送モードごとにCO2排出量を表示するサービスを開始。排出量を正確に把握したい企業のニーズに応える。国内トラック製造3社(いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう)もEVトラック販売を2022年から開始するなど、CO2排出量削減可能なサービスの増加が期待される。
その他、共配サービス、モーダルシフトなど、グリーン物流への取組みは多岐に渡るが、その実現には、荷主側、及び物流サービス提供者の両輪による物流CO2削減取組みが求められると考える。今後の取組みに注目したい。

民谷 成