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物流拠点の城下町化

三大都市圏の市街地近くで、地域住民が利用可能な設備がある大型物流施設の新設が相次いでいる。消費者の近くに配送拠点を持ちたい物流事業者のニーズは高いが、トラック通行量の増加など住民にとってはマイナス面もある。そこで広場の開放や交流イベントの開催で地域住民との共生を目指す。
例えば大阪府茨木市に完成した大型物流施設は屋外に球技場があり、サッカー教室を開催している。また23区内最大級の板橋の物件(24年9月完成、25万㎡)は敷地の1割を緑豊かな公開空地にし、玩具販売大手が監修した遊具で遊べる広場を住民向けに設けている。
地域住民とのさらなる共生のために大型物流拠点を中心とした企業城下町化するのはどうだろうか。物流拠点で働く人材、あるいは発地として利用するドライバーの家族向けに教育施設、医療施設を近隣に集積させる。さらにその人々が生活するための食のモールを誘致する等である。
集積した多種の施設もこの物流機能(保管・配送等)を有効活用する一方で、この大型マルチ物流機能を活用するために、新たな企業の製造機能等を誘致する。当然、行政のサポートにより物流車両の動線と人の流れを区画するのである。

竹本 佳弘