TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

物流不動産の動向、賃料両極化到来か

不動産サービス大手の調査(首都圏の1万坪以上の複数テナント向け施設227棟を調査)によると、2022年7~9月の大型物流施設の平均賃料は、首都圏で4550円/坪/月。4~6月から30円(0.7%)上昇、2008年の賃料調査の開始以降で最高。EC事業者や物流会社などからの需要が堅調とのこと。
一方、外環道エリアは20円(0.4%)安の5170円/坪/月、圏央道エリアは横ばいの同3620円。郊外の物流施設は人手確保が困難等で賃料が弱含み傾向にある。首都圏全体の空室率は5.2%と0.8ポイント上昇し、2018年7~9月期以来4年ぶりに5%を超えた。23年には04年調査以降、最大となる約90万坪の供給が予定され、23年10~12月期の空室率は8.1%に達する模様だ。
空室率ではオフィス棟は5-6%が景況目安とされている。物流不動産景況も同率とは言えないが、今後、首都圏の外環部分の新規・既存施設の空室率が上昇する可能性はある。物流不動産の需要が中心地に集中する逆ドーナツ化現象(外環部分の物流不動産のテナント空洞化)が顕在化する。23年の空室率動向を注視したい。
竹本 佳弘