TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

ロジスティックスネットワークの組み替え

米国の港でコンテナ船輸送の混雑が長期化している。ブラックフライデーやクリスマス商戦を考慮すると小売業は11月~12月上旬には商品を確保(輸入)したいところだが、依然として正常化は見通せないとのことだ。
米国の輸入コンテナの約4割が通過するロングビーチ港では船が沖合に停滞。沖合の船数は9月中旬以降、80隻以上と春先の3倍の水準。
海運会社によると、中国から米西海岸への輸送日数は通常約30日のところが、足元は40日以上に延びているとのことだ。
一方、米政府は港の24時間営業を打ち出すも、ガントリクレーンの操縦士及びコンテナシャーシの不足等、課題は多い。
且つ、中国発米西海岸向け海上運賃はコロナ前の10倍以上に高騰し、小売価格への転嫁が懸念されるとのこと。
このような中、ホームファニチャー小売業大手等はロングビーチ港からオークランド港に揚げ地を一部変更している。
このように有事に近しい状況においては、ロジスティックスネットワークを組み替える柔軟な体制が必要である。これは状況が発生してから組み替えを検討、対処するのでは遅い。
ロジスティックスネットワークを組み替えるシナリオを複数本、保有しておき、且つシナリオを発動する基準を設定しておく必要がある。
そのなかで状況に応じてシナリオを選択、発動し、迅速に代替のロジスティックスネットワークに移行するのである。

竹本 佳弘