TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

ミューオンの技術活用 海上コンテナの税関検査

海上コンテナの税関検査に画期的な方法が検討されている。現在、税関検査対象のコンテナは、(主要税関の近隣にある)大型エックス線検査場にてコンテナを牽引するトレーラー毎、この装置に通しエックス線検査(いわゆる人体のレントゲン検査である)を行う。
これで輸出入許可となることが多いが、不明な影などが映った場合は、その場でコンテナから貨物を全量取り出して、改品検査を追加で行うこともある。輸出入者にとっては、1)荷痛みの可能性、2)検査費追加発生、3)納期1‐2日遅延を負担することとなる。
エックス線は鉄やステンレス、コンクリートなど高密度で厚みがある物質に対しての透過能力は低いため、現行の装置では大型輸送コンテナなどの検査で精度が低くなる問題がある。また内部にある物質の大まかな形の推定はできるが、素材や性質の判定はできない。このような中で検討中の方法がミューオンを利用する検査技術の活用である。ミューオンを利用する検査技術を活用すれば、コンテナ内部の物質の形状だけでなく、素材や性質を判別できる可能性があるとのこと。
ミューオンとは宇宙から飛来した宇宙線が、大気中に含まれる原子核と衝突して発生、地表に降り注いでいるもの。電子と似た性質を持ち、物質を透過する能力が非常に高い。この性質をインフラ構造や輸送コンテナなどの可視化に応用する技術である。
2030年以降には大型トラックに積載できる程度まで小型化したミューオン発生装置の開発を目指す模様。当技術を活用した検査は港湾だけではなく、空港、大型イベント会場、国際会議場等、活用シーンは多岐にわたる。今後、ミューオンの技術活用に注視していきたい。

竹本 佳弘