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フォワーディング業務における生成AIへの期待

先月JAPAN IT Week(春)を訪れたところ、AIチャットポットやAI-OCRなど、既存の技術にAIを組み合わせた製品を紹介しているブースが多数目についた。最近、自然言語生成AIのChat-GPTが世間を賑わせていることからも、今後AI-○○といった製品の増加が推察される。

国際物流業界への影響を鑑みる為、試しにOpenAI社のChat-GPTに、フォワーダーが提供するサービスの中で特に専門性を伴う通関士が行う商品H.Sコード分類が可能なのか、難易度が高いとされる「鞄」のH.Sコードを問い合わせてみた。結果であるが、候補となるHSコードと鞄の種類(ハンドバック・財布など)を提示してくれることで、調べるポイントを絞るという点においては非常に有効であると感じた。ただ、最終的にHSコードを特定する為、鞄の特徴から、どのH.Sコードに該当するのか問い合わせたところ、税関問合せを推奨するという注釈が付く点や、サイズ基準が税関公示と異なる点など、現時点において通関士にとって代わることは出来ない印象を受けた。Chat-GPTの課題と言われる、情報の精度や最新の情報が反映されない点かと思われる。

しかしながら今後AIの精度が高まるにつれて、過去事例や規定に沿って判断する業務をAIが代替することは可能になるかと考える。例えば、通関業においては、製品の写真や、いくつかの製品仕様(商品名、用途や、材質)、原産国をAIに伝えることで、該当するH.Sコード、関税率、通関申告時の必要書類などが回答されるものだ。最終的にAIによる業務代行には公の制度変更も必要にはなるだろうが、信頼できる回答精度をAI出せるようになることで、その議論も進展すると想像する。今後の動きに注目したい。

民谷 成