TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

サプライチェーン・ガバナンス ~産業スパイ対策~

過日、日本企業(メーカー)の社員が他国に製品情報を漏洩した報道があった。産業スパイ対策に関しては、物流においても、対策の脆弱性が指摘されている模様だ。日本の物流会社には、多種多様な荷主の機密情報が通過している一方、トレーサビリティーやセキュリティー対策への投資が不十分な物流施設が多いとのことだ。
また物流業界の多層構造(元請、下請、孫請)により再委託は多く、且つ労働力不足により現場作業はアルバイトなどに依存している。このような中で物流会社はどのような情報管理を実施するべきであろうか。
米国ではTAPA認証(Transported Asset Protection Association の略、米国のハイテク製品メーカー、その製品の輸送・輸出入業者、監査・コンサルタント法人などにより、1997年、組織化された非営利団体。製品の輸送・保管中の紛失・盗難を防ぐための保安・警備の規格)を取得した倉庫を経由する動きが強まっているとのことだ。
日本の物流業界では性善説を前提とした庫内作業、輸配送の側面があるが、ドライバー、庫内作業者の労働力不足による多国籍人材の活用が加速する中、今後、TAPA認証を参照とした情報管理制度が整備されていくと考える。

竹本 佳弘