「ゲーミフィケーション」とはポイントやランキングなどゲーム的な要素をゲーム以外の分野に応用することで、ユーザーや従業員のモチベーション向上、顧客のサービス利用率向上を図るものだ。例えば、回転寿司店において、皿を一定枚数投入するとガチャが回せて景品が獲得できるなどがその一例である。
この手法は、企業の日常業務にも導入されている。例えば、Amazonのフルフィルメントセンターにおいては、ピッキングや梱包作業の際、端末上にゲーム風のインターフェースが表示され、作業速度や正確性が数値化される仕組みがある。作業者はリアルタイムに自他のスコアを確認でき、自身のランキングを知ることも可能だ。この仕組みにより、単調な作業であっても達成感と競争意識をもたらすことで、モチベーション向上、生産性改善、さらには離職率低下に寄与しているとされる。
このゲーミフィケーションは、成果を数値化できる業務や反復的な作業において有効性を発揮しやすい。作業スピードや精度をスコア化し、成果を可視化することが容易であるためである。その為、工場・倉庫で行われる定型業務との親和性は高いといえる。一方で、成果や行動の評価が難しいホワイトカラー業務(企画、研究開発、マーケティングや管理等)においては、スコア化の基準設定が難しく、不公平感や反発を招く恐れがある。
ただ、最近は、ホワイトカラー業務においても一部の業務においては標準化・定型化の傾向が見られることから導入余地はあると考える。例えば受発注処理のように機械的で反復性の高い業務ゲーミフィケーションの適用余地が存在する。また、定型業務ではない、研究開発でも発案件数を指標とすることで、努力点の評価が可能になるだろう。ただし、ホワイトカラー従事者は裁量性や自律性を重視する傾向が強いとも言われ、成長度を表すスキルマップやチーム貢献度(サポート回数)を評価対象に含めるなど、制度設計に工夫を凝らすことが望ましい。
ゲーミフィケーションは、仕事に娯楽的な要素を取り入れることで、業務効率やモチベーション向上に寄与する施策である。定型業務に適している為、将来的にはAIやロボットが取って代わる可能性が高い領域ではあるが、この仕組みにより人が最大限の力を発揮すれば、人の優位性はまだ継続するかもしれない。
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ゲーミフィケーションで仕事もアミューズメントに
ITテクノロジー
2025年09月16日