倉庫や配送の現場では、日々の業務に追われる中、シフトの違いや物理的な距離のせいで、社員同士のコミュニケーションが希薄になりやすい。顔を合わせる時間が少なく、「ありがとう」「助かったよ」といった一言を伝える機会すら持てないまま、仕事が流れていく。結果として、現場の空気がどこかギスギスし、孤立感を覚える人が出ることもある。
こうした“つながり不足”に着目して開発されたのが、ダイセーグループのアプリ「みんポス」である。「みんポス」は、感謝や労いの言葉をポイント付きで気軽に送り合えるツールだ。例えば「お誕生日おめでとう」「雪の中の配送、お疲れ様でした」といったメッセージを、定型文から選び、簡単に送ることができる。ある社員が休憩中にスマホを開くと、「朝イチの積み込みありがとう!」といったメッセージが届いている。それを見て思わず顔がほころぶ。そんな小さなやりとりが、「よし、こっちも頑張ろう」と前向きな気持ちを呼び起こしていく。
「みんポス」は現場の空気をほぐし、人と人の間に小さな橋をかけるような役割を果たしている。このような日常的なメッセージのやりとりは、実は現場で行われる改善会議につながると考える。「何か意見ある人?」と会議の場で突然ふられても、いきなり話せる人はそう多くない。とくに、普段の業務で接点が少ないメンバーが集まる会議では、空気が固くなりがちだ。そこで有効なのが、会議の数日前から「みんポス」を使って軽いメッセージを送り始めることだ。たとえば「この前の棚入れ、スムーズだったね」「会議でちょっと聞いてみたいことがある!」など、軽くやりとりをしておくだけで、相手との距離が縮まり、会議でも自然に言葉が出るようになる。つまり、改善会議の前に“発言の助走”を用意しておくのだ。そうすることで、会議の雰囲気、出てくる意見の質も大きく変わるのではないだろうか。
業務効率や数字だけでは測れない、みんポスは、そうした現場の課題に真っ向から向き合った一つの解である。今後、このようなツールが広まり、現場の改善がより一層自発的に、前向きに進むことを期待したい。
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つながり不足に効く小さな習慣
組織/人事
2025年06月09日