先日、「駅弁」が海外進出を試みるニュースが報じられた。もともと駅弁の多くは国内出張するビジネスマンに購入されていた為、コロナ禍以降国内販売が伸び悩んでいた。そこで海外に市場を見出したところ、日本食ブームとあいまって大人気とのこと。
この、食品の海外進出を支えているのが冷凍技術の進歩だ。これまで、解凍時に食材の味・食感が低下することが問題視されていたが、短時間冷凍の技術開発により品質保持が可能となり、海外市場進出の一助となっている。海外の日本食レストランが10年で約3倍に増加していることからも、今後も、世界的な日本食ブームは継続すると想定され、輸出も伸びることが期待される。そこで重要となるのが、冷蔵・冷凍の物流ネットワーク(コールドチエーン)ではないだろうか。
現在国内の冷蔵・冷凍物流は、冷凍食品やEC増加に伴い需要が増加する一方、供給側は、倉庫施設は限定的且つ老朽化によるスペース逼迫、また、厳しい低温作業に人手が集まらないなど、需要増加に対する課題を抱えている。中長期的にはインフラの拡充が不可欠であろうが、直近では限られたインフラを複数企業が共同で効率的に利用することも重要と考える。
例えば、保管においては、共同で倉庫利用することで、繁閑期のズレを利用した効率的な倉庫運用を行う。夏期に需要が高まるアイスクリームと、冬期に需要が高まるケーキ類を組合わせるなどだ。また、共同利用を想定した1日単位・1パレット(少量貨物)でレンタル可能な保管サービスもあり、新規ビジネスで少量かつ短期だけ保管したい利用者のニーズにも適したサービスであると考える。国際輸送においても、保冷コンテナを複数企業が共同利用するは、通常貨物と比較して高額な輸送費をシェアし、コスト抑制が期待できる。
日本の職人が作る「本物の日本食」の海外進出を支える冷凍技術の進歩、及び冷蔵・冷凍物流の発展に期待したい。
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「駅弁」の海外進出を支えるコールドチエーン
SCM/ロジスティクス
2025年05月12日