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「トランプへのお土産」がもたらすもの

 

米国トランプ大統領の訪中できまった大型商談の一つに、ボーイング社からの旅客機大量購入がある。737型機を中心に300機、約4兆円強の大量購入だが、中長期的に中国側にとってメリットが大きい。もともと成長するアジアの旅客市場への対応で737型最新機種への需要は強かった。今回のことでトランプ氏に恩を売ると同時に、なにより組み立て工程を中国国内に持ってくることに成功している。ボーイングが長年嫌がっていた技術供与がどこまで進むかわからないが、ロボットによる自動検査技術など最先端の製造、サプライチェーン管理技術を持つボーイングの一翼を担うメリットは大きい。また最新鋭機を装備することでエアライン、機体リース事業でも中国企業の競争力・プレゼンスは確実に高まる。国産機開発、MRO(整備メンテ)技術開発へも波及するだろう。EV(電気自動車)の次は航空機と、中国の製造業は次の成長エンジンを手に入れたかもしれない。