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GMSのテナントミックス

先月のコラムでは百貨店のテナントミックスについて言及した。今回はGMSである。GMS大手は10月、100円ショップ大手を買収すると発表した。TOB等で同社株51%の取得を目指す。51%取得した場合の投資額は200億円超、原材料コストや人件費が上昇するなか、100円ショップが持つ低価格の商品開発力などを取り込むとのこと。
コロナ禍の前からGMSは差別化のできない衣料品や住関連商品の販売苦戦が続き、新たな収益源の育成が課題となっていた。これまでの業務提携ではなく、買収という形でテナントを確保する新たな戦略と捉える。
当GMSにはすでに100ショップ最大手も多数出店している。100円ショップ最大手が退店することはないと想定されるものの、今後、当GMSへの新規出店は無い。また今回買収される100円ショップはGMSだけではなく、SMの特設売場への出店も考えられるであろう。
買収のパフォーマンスシナジーとして、双方の来店率の向上(売上拡大)があるが、実現には不確実性が伴う。それ以上に、集中購買、共同物流等、コストシナジーを確実に発揮することが望まれる。

竹本 佳弘