TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

電子書籍の広がり

コロナ禍において巣ごもり消費が高まるなか、電子書籍の利用が伸びている。電子書籍取次大手では、書店の営業休止や休校を受け、4月の電子書籍取次の売上高が前年同期比20%増加ということだ。学校の休校が長引いていることも大きく、電子図書館では児童書や英語の教育本の貸し出しが好調という。そもそも電子書籍の事業モデルは「コマ切れ(例:漫画などの1話売り)X すき間時間(例:入浴時の読書)の組み合わせ」であり、消費者のニーズに合致している。今後も電子書籍利用の潮流は加速すると考える。また、この電子書籍取次企業は、今秋には電子書籍の流通基盤にブロックチェーン(分散型台帳)技術を導入する計画とのこと。取引履歴を記録でき、電子書籍の中古販売が可能となり、出版社と作家に印税(著作権料)を還元できるとのこと。このようなブロックチェーンの仕組みがクーリエ(国際宅配便)市場にも展開されると、どうだろうか。紙の書類は電子書類となり瞬時に受け手に到着する。ブロックチェーンにおいては、改ざんの心配がない。書類の物的流通が電子書類という情報流に変化する。これにより、出し手・受け手の両者は、書類に紐づく荷物を受取るリードタイムの短縮により需要に応じた商材の提供と、クーリエ便のコスト削減などが可能になると考える。

竹本 佳弘