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貿易金融ブロックチェーンの起こり

コロナ禍において、紙文化の貿易金融の分野でもペーパーレス化の動きが加速している。貿易取引は紙文化が根強く、輸入業者のL/C(信用状)など重要書類は紙媒体でのやりとりが原則だ。輸入業者の取引金融機関が紙のL/Cを発行し、クーリエ便で相手国の金融機関を経て輸出業者に届く。また、現在、B/L(船荷証券)などを電子化している銀行は24%にとどまるとのことだ。
今般、各国での在宅勤務により、紙媒体中心の事務作業が停滞しているため、輸出入企業にとって、ペーパーレス化への要望は強い。この潮流を受け、日本でもメガバンクがフィンテック企業と提携し、ブロックチェーン技術を活用した貿易金融の電子化に取り組む。前述のL/C取引では、従来5~10日かかっていた手続きが24時間以内で完結できるとのことだ。
これまでも貿易金融は世界規模で電子化が検討されていたが、SWIFT等の国際的な銀行間システムとの連携に支障が生じる部分があるのか、遅々として進まなかった。しかし、コロナ禍で電子化の潮流が加速する。さらに電子化による効果は商取引だけではなく、物流にも波及する。例えばL/Cの手続きが短期化することで、これまでL/C開設待ちで、輸出国倉庫で待機中の貨物が即時、出荷することが可能となる。国際物流のリードタイムが短縮されるのである。

竹本 佳弘