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トラック労働力不足の解消策

米国における物流人材の労働力確保の一例として、トラック乗務員不足の解消策を紹介する。
米国トラック協会の報告書(2021年10月公表)によると、乗務員不足は推計8万人と記録的な水準。さらに今後は定年退職者が増えるため、不足人数は2030年までに倍増する可能性もあるとのこと。
これを背景に米国政権は2022年2月初、人手不足が続くトラック乗務員に退役軍人が就くことを支援する職業訓練を始めると発表。
物流人材不足に起因する労働コスト増加によるインフレを抑制する狙い。多くの退役軍人は軍でトラック輸送の経験があり、労働力確保の一助になるとのこと。
90日間のトラック輸送の研修を通じた資格取得などを想定し、雇用までの期間短縮を企業側に促す。軍での運転資格の保有者は商用免許の技能試験を免除される仕組みも導入するとのことだ。
コロナ禍において物流人材はエッセンシャルワーカーとして重要視されているが、乗務員不足は日本においても深刻化する重要課題である。米国コンサルティング企業のレポートでは2027年に24万人不足するとのことだ(2017年報告)。
日本の乗務員不足の解消策として、米国と同様の仕組みを導入するのはどうだろうか。例えば定年退職自衛官は年間4800人(21年度)創出されている。あるいはパッカー車両乗務員の定年退職者を対象とした仕組みである。米国と同様に運転資格者は技能試験の免除、その他、優遇制度を設けることで、少しでも多くのトラック乗務員への転職者を増加させるのである。

竹本 佳弘