TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

深化するアマゾンエフェクト(3)-起業支援サポートプログラムによるドライバー不足の解消-

現在、米国はEC需要増加に伴い、トラックドライバーの不足に見舞われている。推定51,000人(*1)ものドライバーが不足している。その結果、各運送会社はドライバーの雇用確保に躍起になっており、平均年収は$79,535(*2)まで上昇している(参考:日本の平均年収は420万円)。殆どの運送会社が給与や福利厚生などの待遇面の処置により雇用確保を狙う一方でアマゾンは全く異なるアプローチを採る。そのアプローチとは、配送事業の起業支援プログラムである。アマゾンによれば、オーナーは一定の基準を満たせば、最低1万ドル(ドライバーの人件費を除く)から起業が可能である。また、プログラムには、配送ノウハウへのアクセス、OJT、自動車リース・保険、サービスに関する割引が含まれている。将来的に配送車両を40台運営することができれば、年間30万ドルの利益が見込まれるようだ。これらのサポートはこれまでアマゾンフレックスのギグワーカーが直面してきた問題を解消しうる(例えば、ガソリン代高騰による利益喪失、付帯保険の欠如、自己保有車両使用に伴うトラブルなどがこれまで問題になっていた)。しかしながら、この起業支援サポートがドライバー数の増加を促す一方で、アマゾンにとっては自縄自縛するリスクが潜む。そのリスクとは、同サポートは既存のパートナーであるUPSやFedExの競合創出を促すため、各パートナーからの不興を買ってしまう可能性がある点である。そのため、各パートナーとの連携は保持しつつ、同プログラムの規模が拡大したら、各パートナーの配送から同プログラム配送へのシフトを上手く行っていく必要があると考える。この起業支援サポートは、所謂フランチャイズ契約である。日本でもヤマトスタッフサプライ社が同様のサービスを手掛けている。しかしながら、アマゾンのように、将来的には運送会社のオーナーとして多大な利益が狙える起業支援であるという訴求はなされていない。ドライバー不足においてアマゾンのような中長期的な目線で事業拡大が狙えるフランチャイズ契約は、同形態が増加傾向(*3)にある日本においても有効であると考える。またそのような中長期的な事業拡大のために、TICのような専門家を活用することは有効な一策である。

*1 引用:Heather Long『America has a massive truck driver shortage. Here’s why few want an $80,000 job.』、米ワシントンポスト、2018年5月
*2 引用:『Truck Driver Salaries in the United States』、indeed、2018年7月
*3 サービス業におけるフランチャイズ店舗数は、年平均約+1%で推移している(引用:『JFAフランチャイズチェーン統計調査』、日本フランチャイズチェーン協会、2014-2016年度)

川端 祥生