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超短納期 VMIの進化

機械工具卸大手が超短納期を試行している。顧客工場内に専用棚を設置、在庫増減を常時把握。工具や消耗品の需要予測により、VMI方式で商品(資材)を先行補充しておく。顧客は棚からピックした時点で購入(調達)となる。製造業の部品調達の仕組みを変える可能性があるとのことだ。顧客にとっては、必要な工具を手に取ってすぐに現場に戻れる。待ち時間はゼロになる。必要時にスマートフォンの専用アプリでバーコードを読み取るだけで持ち出せる(購入できる)。アプリでの購入を通じて自動発注と補充が可能になるとのことだ。
これまでは即配、翌配の短納期が競争優位性の1つであったが、今回はオンデマンドのリードタイムゼロを試行している。顧客は既存の発注方式とVMI方式を組合わせる一方、当卸企業は顧客との取引深耕を狙うものだ。海外生産を中心とする企業の国内工場は、VMI棚を設置するスペースは充分にあると推察される。当卸企業としてはVMI棚の現品管理及び適品陳列の課題はあるものの、一括補充可能なため、配送コストは低減する。顧客との取引拡大(競合他社との並行購買比率の減少)が実現するのか、注視していきたい。

竹本 佳弘