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物流EV車両普及にむけた課題

物流会社大手が中国産EV車両(小型1トン車)を1万台購入する。1トン車の価格は補助金なしで380万円程度、同車格のディーゼル車とほぼ同価格であり、同車種のEV車両を日本企業が生産した場合は1000万円程度とのことだ。
航続距離は300キロメートルで宅配などに使用する。競合他社も中国企業よりEV軽車両を7200台購入する。軽車両のすべてをEVにすることでCO2は19年度比、1割削減を見込めるとのことだ。
ESG・SDGs経営が潮流のなか、物流でのEV車両使用は加速すると推察される。課題としては充電設備の整備に加えて、メンテナンス機能の整備がある。
日本国内では独立系整備工場が多く、9万工場ともいわれている(例えばコンビニエンスストアは6万店弱)。また運送会社大手では自前の整備施設を保有している。
しかし、EV車両のメンテナンスになると専用部品の調達・管理が肝要である。中国からの取り寄せでは欧州車の整備と同様に割高となる。さらに重要なのはEV車両整備士の確保・育成となる。
国内整備工場は一部、高齢化しているなか、EV車両の整備費の高さ、整備リードタイムの長さが足かせとならないように、メンテナンス機能の早期整備が最優先課題となる。

竹本 佳弘