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EV国産化の課題

日系自動車メーカーが2022年からEVトラックの量産を始める。EVトラックの採用機運が高まっている物流企業などの用途に合わせて、1500種類を作ることができる車台を開発、将来的にディーゼルトラックの価格同等を目指すとのことだ。
環境省によると運輸部門は日本のCO2排出量の約2割を占め、その4割弱が貨物輸送。脱炭素を目指す動きは荷主企業に広がるなか日本の商用車メーカーのEV生産は、小規模にとどまっている。
先月のコラムで言及したが中国勢がEV軽トラ(積載量1トン級)の日本展開を急いでいる。一方、同社は2~3トンのタイプで、物流だけでなく引越用なども想定するが、当EV車の価格は補助金を除いたベースでディーゼルトラックの約2倍の模様。
中国勢は国策として法制度、補助金を活用してEV化に邁進しているが、将来的に収益性を確保できるかは懸念が残る。そのためメンテナンス機能の持続的提供が肝要となるであろう。
日本勢も補助金をさらに活用したいところであるが、他国政策とは異なり、且つ、HV車の普及もあり、EV化の普及スピードはまだ加速していない。
EV車のユーザー企業としては購入後の生涯費用(LTC)をいかに逓減でき、車両収支向上に資する車種であるかが重要となるなか、日本勢のEV車の販売動向を注視していきたい。

竹本 佳弘