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EV、垂直分業から水平協業へ

2021年、販売台数がHVを超えたEVに関し、22年初、台湾EMS最大手(以下、当社)が進めるEVの共同開発に当初の5倍にあたる約100社の日本企業が参加することとなった。当社は部品規格などを共通化し、EMS事業拡大を狙う。日系自動車メーカー最大手も参加することで、自動車メーカーを頂点とした系列のサプライチェーンが変わる可能性がある。
共同開発には3月上旬時点で約2200社が参加する方針で、約100社を日本企業が占める。英調査会社によると30年のEVの販売台数は21年比7倍の約3300万台とのこと。
当社にEMS委託すればファブレスメーカーとして自社ブランドのEVが販売できる。ソフト開発などに専念し、生産委託するデジタル家電(携帯電話等)と同様の水平分業が拡大するとのことだ。
さらにプレーヤーも異業種参入が頻発している。今後の競争優位性は、運ぶモノ(車)からコト(複合体験できる移動空間)の提供力(複合サービスのオーケストレーター)に移行していくと考える。また、EVのプロモーション・デザイン・コストだけではなく、ソフトのアップデート容易性、データの活用性等のソフト面の競争優位性を持つ企業がキープレーヤーになると考える。
これまで重要部品会社を囲い込み、サプライチェーンを形成する垂直分業が競争優位性の1つであったが、今回は水平協業へのパラダイムシフトである。資本関係や技術提供等の取引深化を前提とする垂直分業とは異なり、緩やかな提携(複数先との並行提携も含む)を前提とした水平協業となる。

竹本 佳弘