TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

Amazon’s Choice(アマゾンのオススメ)

購買のチャネルがリアルからECへと急速に移行している。しかしながら、ほとんどのユーザーはネットで購買活動を完結しているのではなく、ショールーミング*1を行なっている。その消費者行動に対して、アマゾンは一石を投じた。先日より、アマゾンのECサイト上に”Amazon’s Choice”(アマゾンのオススメ)というバッジが付いている。同バッジは、ネットでの購買完結に大いに寄与すると筆者は考える。これまでのECサイトは、売上、キーワード数、レビュー、クリック率などが商品の評価基準となり、評価が高いものが人気順として上位に表示されるというのが一般的であった。しかし、これはどういったアルゴリズムで商品が上位に上がっているかをユーザーが把握できない。そのため、上位にある商品を選択するというよりも、結局はレビューの評価と価格が購入の判断軸となる場合が多いと推察する。しかし、レビューは、商品をリアルで見ずに購入するという行動を起こさせるには不十分である。例えば、両製品の価格が同じ場合、レビューが100件・星4.0の商品とレビューが5件・星5.0の商品のどちらを買えば良いか判断するのは困難である。一方でアマゾンは、評価基準を明示した上で、総合評価の高い商品に”Amazon’s Choice”のバッジを付与している。評価基準の例として、プライム会員向け製品(配送無料になる製品)、返品率が低い製品など独自の評価基準がある。このように、返品率などのデータを活用し、評価基準をリッチにした上で評価基準を明示することは、ユーザーの意思決定により明確な判断材料を与えることになる。このように、判断材料となる基準を多く持たせることにより、オンラインで購買行動を完結させるユーザーを増加させることができると考える。加えて、アマゾンは、ウェブ上で、クリックして商品を見て選択、注文をするというこれまでの購買行動のみならず、同バッジをAIスピーカーでの注文にも活用する狙いがあると推察する。商品にバッジが付与されている=一定以上の品質が担保されていることになるので、商品を見ずにアレクサ*2に「Amazonがオススメする〇〇を注文して」と話しかけて注文を行うユーザーが増加すると考える。とりわけ、日用品など在庫補充型の購買において有効である。「アレクサ、ティッシュ買っておいて」というと、「前回のティッシュと同じでよいですか?もしくは、アマゾンオススメのティッシュにしますか?」など提案型のネット購買が可能になるかもしれない。今後も、アマゾンがEC分野でどのように更なる地位を築いていくか注目していきたい。
*1 ショールーミングとは、小売店で確認した商品をその場では買わず、ネット通販によって店頭より安い価格で購入することを指す。 (公社)日本通信販売協会(JADMA)が6月13日発表した調査「リアル店舗vsネット通販」によると、リアル店舗で商品を確認してネット通販で購入するショールーミング経験率は63.3%となっている。
*2 アレクサ(Alexa)はAmazonが開発したAIアシスタントである。

川端 祥生