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3Dプリンター活用によるサプライチェーン改革

エレクトロニクス企業大手(以下、当社)が3Dプリンターに参入する。金属や樹脂などあらゆる硬さの材料を精密に押し出す独自技術を採用した装置を2023年にも実用化すると発表。これまで必要だった特殊材料を使わず、製造コストが10分の1程度になる。少量多品種で簡単に生産できる3Dプリンターが自動車などの製造現場で実用段階に入るとのことだ。
当社は印刷用プリンターの噴射技術を応用し、材料の硬さに応じて圧力を調整しながら押し出し加工する技術を開発。ステンレスなど硬い金属から樹脂まで対応できる。装置の価格は1台2千万~3千万円程度とのことだ。
独調査会社によると、世界の3Dプリンター市場は26年に372億ドル(約4兆3000億円)と20年から約3倍に成長する。コロナ禍及びウクライナ情勢等により世界的な部品不足が拡大する中、製造現場で自由に部品を生産できる3Dプリンターの実用化が望まれている。
さらに高性能3Dプリンターの普及により、モノと情報の移動においてサプライチェーンは変化する。
モノの移動においてはサプライチェーンの代替策の実施やサプライチェーンの寸断を見越した在庫積み上げを回避できる、且つサプライチェーンにおける在庫ポジションは極小化される。
情報の移動においては、情報の遡及性・双方向性、即時対応力が必須となる一方、これまでの物理的な調達戦略が簡素化される。

竹本 佳弘