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食品ネット事業の進化、ショールーミング 

ネット事業において食のショールーミング化が進んでいる。五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のうち、ネットは視覚と聴覚などに効果的に訴えることができる。一方、味覚などネットでは伝えきれない部分にリアル事業の商機がある。

リアル事業においてネットで人気の食品を展示、試食として提供する企業が注目されている。来店客が気になる商品の試食カードを提示すると試食できる仕組み。店内で味を確かめ、気に入れば試食カードを通じてネット購入できるとのことだ。当リアル店は毎月各メーカーから出展手数料を得て運営している。
また、米国発体験型店舗の日本法人では21年11月に渋谷に出した新店は全商品の3割を食品が占め、試食の機会を提供する。経済産業省によると、20年の食品、飲料、酒類のネット化率は3%、書籍、映像・音楽ソフト:43%、生活雑貨、家具、インテリア:26%など、先行分野と比べて食品のネット事業は普及していないとのこと。

味覚に訴求する食のショールーミング機能は今後もニーズがあると考えるが、来店客が気にならない商品は試食まで到達せず、ネット購入にはつながらない。ここでリアル店舗にマーケティング機能も装備するのはどうだろう。
店内に設置したカメラ、センサー、AIエンジンを駆使して試食に至らなかった来店客にアンケートする。嗜好を聞き、嗜好に合った未展示商品を推奨する、あるいは新商品開発につなげるといった機能である。
アンケートのインセンティブはポイントや試供品の提供である。また来店時に自分の嗜好にあった商品をAIエンジンが推奨することでストア・ロイヤルティ醸成となり、来店頻度が向上すると考える。

竹本 佳弘