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航空物流業界のペーパーレス化

テレワークを実施する課題の一つにペーパーレス化がある。航空物流業界も紙を非常に多く使う業界であり、Air Waybill(AWB)=航空運送状に年間7,800トンもの紙を使用している。
このAWBの電子化は10年以上前より、業界として取組みが実施されていたが、特に日本での普及率は39%と世界平均の61.2%に比べて低く、また件数ベースでは12%と普及しているとは言い難い状況である。(2018年12月時点)
デジタル化が進まない背景には、MAWB(Master Air Waybill)については発行を代行するフォワーダーにとってデジタル化することによる業務効率化メリットが少なかったこと、また、HAWB(House Air Waybill)については、輸出入者に課せられる文書保管義務の制度の影響が大きいと考える。
その中、昨年より日本においても、MAWBをe-AWB化する機運の高まりが伺える。昨年、日系キャリアであるANAカーゴ、JALカーゴサービスが、e-AWBに関する対象仕向け地、対象貨物、締め切り時間など、条件の明確化を行っている。
また、ANAカーゴに関しては、今年の1月よりe-AWBを用いない輸送の場合、AWB1件あたり1,600円の諸チャージを課している。
世界の例を見ると、e-AWBの普及率トップ10に入る空港を主要拠点とする航空会社もトップ10に入る傾向にあり、e-AWBの促進にはその地域を主拠点とする航空会社の影響が強いことが伺える。今回の日系キャリアの方針が日本のe-AWB普及を進めること、またペーパーレス化によるコロナ禍にも対応する業界へと変化していくことが期待される。

民谷 成