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自社サプライチェーンの敏捷性評価

敏捷性(Agility)に富んだサプライチェーンは自社ビジネスに競争力を付与する。これは今日言われ始めたのではなく、10年以上前から提唱されていることである。敏捷性に富んだサプライチェーンでは、刻一刻と変化する顧客ニーズや、政府規制、また、災害などによる供給停止リスク等への対応力が高く、現在の変化の多いビジネス環境においては、重要な要素の1つとされている。しかし、実際に個々の企業が自社サプライチェーンを評価した際、環境の変化に柔軟に対応できる俊敏性を兼ね備えているのだろうか。先日SCMR注1の中で、「一元化」、「標準化」、「コントロールタワー」、そして「柔軟性」が敏捷性を構成する要素だと説明されている。一元化とは情報が自社だけでなく、サプライチェーンを構成するパートナーとも共有でき、かつ、リアルタイムに共有できる状態をさしている。標準化とはグローバルにおいて、統一されたデータ使用と、処理方法が採用されているとされる。また、コントロールタワーが確立されていることは、それら一元化、標準化された情報を有効活用し、判断・管理を行える状態とされる。最後に、柔軟性とは、変化する環境に適応する能力をサプライチェーンが保有していることとされている。つまり、SCM責任者が、分析・意思決定する為に必要なサプライチェーン情報をタイムリーに入手可能で、かつ、様々な選択肢の中から柔軟に解決策を選択可能で、それをグローバルレベルで迅速に導入可能な組織であると言える。自社のSCMを評価するのに、様々な手法があることは知られている。実際には企業のビジネス戦略と結びつけることはもちろん、同業他社との比較、および、それら結果を使用した継続的な改善が求められる。しかし、自社のことを客観的に評価することは容易ではなく、また、日々の業務と並行して見直しを進めるには大きな負荷が掛かることが予想される。時には、外部の調査機関や、コンサルタントに委託することも、一つの手段かもしれない。

注1:Supply Chain Management Review

民谷 成