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紳士服小売企業の戦略方向性 ~多角化とコア深化~

ニューノーマルのビジネス環境のなか、紳士服小売業界の優勝劣敗が鮮明となってきた。衣料事業以外の事業成長がKFSとなっている。
国内大手4社の2021年4~9月期の連結業績では、衣料以外の売上高比率が4割を超える2社は前年同期と比べ、赤字幅が縮小。
一方、衣料以外の事業成長が乏しい他2社は赤字幅が横ばいか拡大しているとのことだ。
業績回復の遅れる2社は紳士服店にカフェなどを併設させる複合店の増設や、在庫リスクの少ないオーダースーツや、店舗スリム化に注力し黒字化を目指すとのことだ。
事業シナジーの低い多角化やオーダースーツを強化する等で業績回復するか懸念が残る。ここでコア事業の深化を考えるのはどうだろうか。
従前より大手4社にてスーツを購入する常連客は多い。いつもその店で紺、グレー、黒の夏・冬のスーツを新調する昔からの常連客である。
この常連客の顧客データは長期蓄積されていると推察される。体型、嗜好等、情報は満載である。この常連客のデータをAIエンジンに流し込み、常連の個客毎にカジュアルスーツ、関連アクセサリーを提案する。さらに、家族への贈答品、コト消費として当店で購入したスーツを着用しての家族での食事、コンサートへの招待などに展開するのである。
これまで蓄積した資産(個客データ)を活用して本業を深化させることで周辺事業に展開していくのである。

竹本 佳弘