TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

物流DX検討

先日ITトレンドEXPO2022 Springの中で、最新のITトレンドや業界情報に触れ、物流におけるDX活用シーンを考えさせられる機会であった。
 DXとは大局的にはデジタル化を活用した事業・組織変革(新規事業創業含む)ではあるが、局地的には情報のデジタル化+業務システム化による付加価値と効率化創出と言える。
その局地的な視点では、物流業界のWMS(倉庫管理システム)も優れたDXと私は考える。WMSは、倉庫に入荷される商品をデータ登録(デジタル化)し、保管、ピッキング、出荷まで庫内業務をシステム管理することで、在庫精度の向上、業務効率化させるシステムである。今ではどの倉庫でも欠かすことができない。
 このWMSが優れていると考える主な理由を、物流会社導入を例として3つ挙げたい。まず、1つ目が、実運用する物流会社だけでなく、荷主側もメリットを享受できている点である。在庫情報のデータ管理は、庫内業務のシステム化を可能とし、庫内業務効率化や作業精度向上させる。また、それは実在庫情報精度・適時性向上にもなり、荷主側の調達(生産)・販売部門の意思決定を迅速かつより正確に実行するのに寄与する。2つ目に、WMSを介して、情報による複数企業の業務連携を可能にしている点である。荷主からの出荷指示をWMSが倉庫への業務指示に変換、また、出荷作業後は、出荷実績をデータとして荷主に返せる。荷主側はそれを基幹システムに取り込むことで在庫計上・売上処理を可能とする。もちろんEDIなどのインターフェイスは必要ではあるが、企業間業務のシステム連携を実現可能にしているのである。3つ目は、WMS機能が汎用的な点である。細かな調整は必要だが、顧客ごとに入荷から出荷までの一連の庫内業務プロセスに大きな違いは無く、その為、WMSを特定荷主へのサービス提供に使うだけでなく、他荷主への横展開が可能であり投資回収も容易になる。事実、自社でベースとなるWMSを保有し、顧客毎にチューニングしてサービス提供しているところも多い。
 物流会社が自社サービスの付加価値向上及び、業務効率化に、DX化を成長戦略の中心に据えるところが多いと感じている。DX化(情報のデジタル化+業務システム化による付加価値と効率化の創出)の参考事例と考え、共有させて頂いた。

民谷 成