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未来薬局 ~リモートの服薬指導と買い物代行~

調剤薬局大手が未来の薬局店舗を開業した。店内では顧客がスマホから遠隔操作する自走型ロボットが稼働する。顧客はロボットの画面越しに薬剤師と相談し、店内に陳列された健康食品などを買い回れる。医薬品医療機器法の改正で9月から、テレビ電話などを通じた薬剤師の服薬指導が可能になる。当面の運用は限定的だが、自宅で処方薬を買えるようになる。コロナ禍の新常態では、薬局での混雑・密集を避けたい人が、オンライン服薬指導にシフトする。このため、来店・健康食品などのついで買いは減少する見込みである。
企業の打ち手として、買い物代行者としてロボットを導入し、顧客は店員や薬剤師からテレビ電話で助言を受け、大衆薬と健康食品などをまとめ買いする。課題はネット通販企業に負けない品揃えと価格とのことだ。
しかし、企業は実店舗販売を前提とすると、店内スペース上、品揃えには限界があるため、高付加価値・高粗利商材をセレクトする能力が問われてくる。また、店員や薬剤師は顧客(個客)の事情やニーズを引き出し、買い物代行者として、まとめ買いを促進する接客スキルも必要になるであろう。さらには、ネット通販企業との競争となるが、配送のコスト、利便性を担保する必要がある。この際、異業種との協業の方向性を検討してはどうだろう。コンビニエンスストア(CVS)などとの提携である。薬局ではCVSとカニバリしない品揃えを維持しつつ、CVS店舗までの配送コストにとどめ、顧客に引取を依頼する、顧客はCVS店舗でさらに買い回りするのである。

竹本 佳弘