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フィジカルインターネットの潮流

フィジカルインターネットの考え方が、日本にも広がりつつあるようだ。フィジカルインターネットとは、倉庫や車両などの物理的な機能を利用して、インターネット上で情報が動くのと同様に、効率的にモノを運ぶ物流を意味する。
インターネットは大量データをパケットとして、細分化し、パケット単位でその時々で、世界中の最適なルートを通って相手に送り届ける。受信者のコンピューターはパケットを再構成し、情報を活用する。フィジカルインターネットでは大量の荷物を小口に分け、それぞれの荷物をその時々で空いている倉庫や車両を使いながら運ぶイメージである。
現在の物流は商取引における納品条件を厳守するために荷主及び物流会社が社内に倉庫や車両を確保している。フィジカルインターネットでは、こうした物流資産をオープン化し、企業、消費者がシェアリング、且つコネテッドな環境を提供する。各資産の稼働率向上、地球環境負荷軽減の推進がフィジカルインターネットの考え方とのことだ。
フィジカルインターネットの実現には、繁忙期は物流資産はどこも高稼働、閑散期はどこも低稼働の中、シェアリング可能なのか、あるいは荷物・荷姿の規格化、包装資材の削減などは企業間で調整可能なのか、課題が山積みである。
しかし、欧州では消費者の地球環境意識の高まりもあり、ALICEとよばれる協会団体がフィジカルインターネットの取り組みを推進している。日本においては、フィジカルインターネットが実現するためには、我々が提唱しているサプライチェーン・ガバナンスやエリア代表窓口制の配送等のように、業界全体での取り組みの実践が肝要と考える。

竹本 佳弘