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コロナ禍におけるサプライチェーンの停滞 ~輸送力の足かせ~

コロナ禍においてサプライチェーンが停滞し、在庫不足により米年末商戦の足かせとなるおそれが出てきた。海運や空輸の減便で中国発の輸送需給が逼迫し、米国の商品在庫は歴史的な低水準、コンテナ船運賃は、3900USD/FEU(約41万円)と昨年同時期の3倍弱(過去最高水準)とのこと。
ブラックフライデー、クリスマスと年末商戦にあわせ、毎年7月頃より中国などから米国に3週間かけて家電や家具、玩具などを輸送する。今春から世界の海運大手が2割程度減便。夏場から回復基調になったが、遅れを取り戻せていない模様である。米小売業の在庫残高は7月時点で前年同月を1割強下回り、在庫残高を小売売上高で割った倍率は1.23倍と1992年以降で最低水準に下落とのことだ。
コロナ禍においてはこれまで出社制約による生産の停滞、外出制約による需要の停滞により需給バランスが崩れてきた。その間、需給調整の介在役である物流はエッセンシャルワーカーとして、ライフラインを守ってきた。しかし、景気回復基調に入りつつあるなか、輸送キャパシティーの制約によるサプライチェーンの停滞を生んでいる。
輸送キャパシティーの向上は困難である。車両、船舶の数は上限があり、前述の中国-米国間は3週間のように納品リードタイムも物理的な制約がある。製販同期というサプライチェーンマネジメントの原理原則において、あらためて製販・在(輸送・保管)同期の必要性を痛感する事例である。

竹本 佳弘