TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

キッチンOSの潮流

今般、フードテックにおけるキッチンOSというキーワードを見かけることが多くなった。現在、家庭では、レシピをネット検索⇒ネット通販で食材購入⇒スマホのレシピを見ながら、調理⇒食味結果をネットに投稿、という流れであるが、ネット上では一連でつながっていない。キッチンOSは、レシピ検索サイトから食材発注、レシピを家電調理器に送信して火力、温度、時間等を自動調整し、プロの料理人並の出来栄えを家庭で実現するものである。
日本ではシャープがキッチンOSの先進企業の1社といえよう。当社は、FY19/4Qの経常赤字(▲85億円)から反転、FY20/1Qは黒字化(77億円)を達成している。巣ごもり需要が追い風となり、当社流のユニークな家電群が収益を下支えした模様だ。
当社は自動調理鍋で人気ゲームソフトとのコラボモデルを8月初に販売、ゲームの人気キャラの声優の声で話す機能が売りとのことだ。この自動調理鍋はアプリを使えば、具材を入れるだけで加熱具合や混ぜ方を自動調整する。また、自動調理鍋用の食材宅配サービスも運営している。
巣ごもり消費においては、これまで以上に調理、食事を楽しむ、凝る傾向が強くなる。また、個客の食欲は、1日のなかでも菜食主義から肉食主義に変化するものである。キッチンOSを創造する企業は、レシピ等を個客接点の入り口にして一連のサービスを提供し、個客毎のUXを向上させる方策を検討している。衣食住の食については、キッチンOSがストレスなく、楽しい体験を提供する家庭のプラットフォームとなる時代が近づいている。

竹本 佳弘