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アマゾンのM&Aを活用した物流改革

米アマゾンが無人配送へ向けて自動運転技術開発の米ズークスを2億ドル(約1300億円)超で買収する。同社が抱える約1千人の技術者を取り込み、無人配送の実現に役立てる狙いである。すでに2018年に同社は、他社に先行してカリフォルニア州から自動運転車を使った旅客輸送サービスの認可を受けている。トヨタ自動車などが獲得に苦戦している人材を、アマゾンはズークスの買収を通じて1千人規模で手に入れることが可能となる。
これまでもアマゾンはM&Aを活用して物流改革を実行してきた。2012年、倉庫内の自動搬送ロボットのKiva Systemsを7億7,500万ドル(約639億円)で買収した。従前、60~75分所要していた庫内ピッキング作業が15分に短縮されるため、2015年に30,000のロボットを13の倉庫に導入し、1倉庫あたり2,200万ドル(約18億円)の庫内作業コスト削減になった模様。2009年買収した靴のEC企業:Zappos、2010年買収したベビー用品小売:Diapers.comにもKiva Systemsのロボットを導入している。一方、このロボットの外販を中止し、他社の物流効率化を促進させないビジネス環境をつくっている。EC事業において物流が競争要因の1つであることを認識させる。今後、1999年に2億5,000万ドル(304億7,000万円)で買収したAlexa InternetのAIスピーカー:Amazon Echo(AI:Alexa)を庫内作業に導入する可能性もある。自動搬送ロボットだけではカバーできない庫内作業に関し、作業員がAlexaを搭載した自動搬送ロボットに「アレクサ、XXを取ってきて」と指示するのである。

竹本 佳弘