TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

再配達問題の解決に向けて

現在、宅配便の約2割が再配達となっており、これは年間約9万人のドライバーの労働力に匹敵するといわれている。ドライバー不足が叫ばれる中、宅配業者にとって大きな問題になっている。国交省の調査(2015年9月)では、荷物を受け取れなった主な理由として「配達があることを知らなかった 41.8%」、「用事があり留守にしていた 26.3%」「元々、不在の予定だったので再配達してもらう予定だった 14.3%」が挙げられている。共働きの増加など日中に不在の世帯が増えていることを変化を考えると、理由の1位として挙げられている配達日時の通知を強化するだけでは再配達の削減にはつながらないと推察される。そのため受取人が不在でも配達が完了できる、コンビニ受取や宅配ボックス利用の推進が根本的な対応策になると考えられる。宅配ボックスは設置やルール整備が必要なため、既存インフラとして充実しているコンビニ受取の推進が最も効率的な解決策と考えられる。しかし内閣府が行った再配達に関する世論調査(2017年12月調査)では日時指定やコンビニ受取を利用したことが無い消費者が68%にのぼり、消費者の具体的な行動に結びついていない実態が浮かび上がる。コンビニ受取はコンビニ各社と宅配業者の1対1の契約になっているため、通販利用時に自宅近くのコンビニとの契約がない宅配業者が配送を担う場合はコンビニ受取が利用できない。また注文の際にコンビニ受取の設定が難しいなどユーザーにとって利便性が低い点が利用率が低い理由と考えられる。なぜ利便性が向上しないかというと各社の思惑が絡み合い利害が一致しないためだ。コンビニにとっては来店客数の増加が期待できるが、一方で店舗スタッフのオペレーション負荷の増加、バックヤードスペースの圧迫などの問題が発生する。またある大手コンビニは自社グループ通販の利用促進を目論み、自社グループ通販のみ店頭受取を行っている。このようにコンビニとしては相応の取扱手数料収入が見込めないと積極的に推進するインセンティブが働かない。対して物流会社はコンビニ受取であれば再配送の心配は無くなり、場合によっては店舗までの配送にコンビニ物流網の利用が可能となるため再配達コストの削減が期待できる。一方でコンビニへの手数料の支払いを避けたい思惑が働いてしまう。また通販業者にとってはコンビニ受取が充実している宅配業者よりも、配送料が安い宅配業者との契約を優先するインセンティブが働く。このように各社の利害が絡むため市場原理だけではコンビニ受取の推進は難しい。国交省も再配達問題を社会問題として重く受け止めており、コンビニ受取の推進のためには、政府が旗振り役となって、通販業者、宅配業者、コンビニの利害調整を行う必要があると考えられる。

亀山 創